川崎学園 創立50周年記念誌
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186Top Message 地域との連携や産学連携にも力を入れていきたいと思っております。 医療・医療福祉は、利用される地域の皆さんの信頼と支援があってはじめて充実し、発展します。また、そこで働く良き医療人・医療福祉人の育成も、地域の皆さんの理解があってこその賜です。 私は、地域とのつながりは非常に大事だと思っております。そのため地域に開かれた学園を目指して、学園の特色や資源を最大限に生かし、市民公開講座等の行事の開催や、困難な状況にある子どもへの支援や障がい者との活動など、さまざまな取り組みを行っております。学生が主体となって行っている活動も数々あり、学園での学びが地域や社会に生かされていることを実感し、うれしく思っております。 小・中学生対象の参加型イベント「かわさき夏の子ども体験教室」は、学園の夏の恒例行事として定着しました。毎回、趣向を凝らした内容で、子どもたちが手術や災害救助の現場など、見たり触れたりして医療の世界を疑似体験します。早い段階でこのような体験をすることで、将来、自分が働くというイメージの中に、医療や医療福祉の世界が浮かんでくることを期待しています。 産学連携活動としては、「KMSメディカルアーク」という、学園の知的財産やアイデアを展示・アピールし、企業や自治体との連携を図る行事を開催しております。スタッフが日常業務の中から思いつくユニークな発想には驚かされるものもあり、学園の新境地を開くことがあるかもしれないと、可能性を感じております。 また、大学や大学病院の専門性の高い知的財産を地域の皆さんに提供し、地域のニーズに合う人材育成をしたいという思いから、地元倉敷市をはじめ、岡山市、総社市、備前市、赤磐市との包括協定を結びました。■ 地域とのつながりを大切に■ 災害や災害医療について 学べる場を 災害発生などの非常時に、川崎学園の教職員、学生の安全を守り、病院の機能を保つことと、地域の方たちに対して我々は何ができるだろうということを、常日頃考えておかなければなりません。 今までも附属病院の高度救命救急センターを中心に、DMAT(災害派遣医療チーム)を災害時に東北や熊本へ派遣するなど、色々な取り組みを行ってきました。もちろん岡山の豪雨災害のときもそうです(詳しくは178ページ)。総合医療センターも2019(令和元)年に災害拠点病院に指定され、両病院共に災害拠点病院として、常に訓練を行い、災害が起こっても持続して診療ができる体制づくりに努めています。 病院および学園全体として、災害が起こってからのことだけでなく、起こったときにどうするかを前もって考えておくことも大切です。そのときの対応や備えを、今後どう展開していくのかと同時に、学生や若い人たちが災害や災害医療について勉強できる場をつくっていきたいと考えております。例えば、学園と「危機管理・防災教育に関する覚書」を締結している高知県黒潮町は、南海トラフ巨大地震の被害想定で日本一高い津波高(34.4メートル)が予想されておりますが、その対策として津波避難タワーを建設し、もしものときの意識を持って日々生活をしておられます。学生や若い人たちに、そういう場所で生活していらっしゃる方の講演を聞いたり、現地に行って学ぶ機会をつくれたらと思っております。締結を交わす高知県黒潮町大西町長と川﨑理事長津波避難タワー

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