川崎学園 創立50周年記念誌
35/244

 附属病院の本館棟2階、総合待合の中庭に面した一角に、ベーカリーカフェ「なかにわ」がある。昼時ともなれば、トレーとトングを手にパンを選ぶ人の列ができ、明るいテーブル席では、大勢の人がゆったりと食事を楽しんでいる。一見、病院とは思えないこの憩いの空間は、誠治が「中庭に面した一等地をより多くの患者さんに喜んでもらいたい」との強い思いで設置した。現在は学生や職員にも人気の場所となっている。このほか、医療福祉大学医療福祉デザイン学科の学生の作品を展示する、附属病院の「ギャラリー ホリスティック」や、両病院に設置している「患者図書室」も、患者のアメニティー向上のために設けられた特別の空間だ。アメニティー向上空間の設置column‒433川﨑誠治三代目理事長志をつなぐ高齢者医療福祉の充実で地域貢献このさきの未来へ前進 創設者川﨑祐宣の時代から、長年にわたって築き上げられてきた川崎学園。二代目理事長明德の経営ビジョンを受け継いだ誠治は、1995(平成7)年に学園理事に就任して以来、明德の右腕として、また、次代のリーダーとして、ハード・ソフト両面から学園経営を力強く支えた。 第三代理事長として学園を牽引する現在、さらなる新時代に向けて、基盤整備とともに新たな取り組みを行っている。 現在、旧川崎病院跡地に「川崎医科大学高齢者医療センター」という新病院の建設計画が進行している。2019 創設者川﨑祐宣の傍らで川崎学園を創設し、教育および診療活動の基盤固めとその発展に奔走、尽力した第二代理事長川﨑明德は、常々「大学は50年経って一人前」と口にしてきた。建学の理念、中でも「人ひ間とをつくる」の成熟には絶え間ない努力を必要とするためだが、創立50周年を迎えた今、川崎医科大学、川崎医療福祉大学、川崎医療短期大学をはじめとする各施設の45,000人もの卒業生が、それぞれの現場で役割を果たし活躍している姿こそが、大学として一人前になれたことを物語っているのではないだろうか。 川崎学園では、各施設が緊密な連携のもとに、人間性豊かな良き医療福祉人の育成を最大の目的として、医療福祉と教育の分野で社会へ貢献してきた。現状に留まることなく、2020(令和2)年には附属病院に「良医育成支援センター」を立ち上げ、さらに医科大学や附属病院の耐震工事という大事業も計画している。また、学園の活動を支える教職員(令和元)年に開設した「訪問看護ステーションかわさき」、「居宅介護支援事業所かわさき」とともに、超高齢社会を迎えるにあたり、地域包括ケアの拠点として、高齢者医療福祉の充実に貢献したいと考えている。 跡地には、「川崎医療短期大学新校舎棟」も建設され、総合医療センター、高齢者医療センターとともに「川崎学園岡山キャンパス」として、急性期から地域医療、在宅医療まで、地域のニーズに合った医療福祉サービスが提供できる人材の育成を目指す。一人一人の心身の健康を保つために、働き方改革への組織的な取り組みを続けている。     川崎学園は、学生、教職員、そして卒業生とともに「かわらぬ思い」を胸に、努力や誠意を惜しむことなく、このさきの未来へ、たゆまず着実に前進していく。3代揃って(総合医療センター開院式後祝賀会)患者図書室ベーカリーカフェ

元のページ  ../index.html#35

このブックを見る