川崎学園 創立50周年記念誌
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Since 197川崎医科大学臨床教育の充実  川崎医科大学設立のきっかけの一つは「臨床医学の充実を目指すこと」といってよい。医学全般の知識を有し、救急患者の処置ができ、必要な場合には専門医に相談する判断力を備えた医師の養成を追求した創設者は臨床教育を重視し、そのために必要な新しい医学教育の試みを次々に実現していった。 授業を「臓器・機能別のブロック単位」で行う「ブロック講義」は、現在でこそ医学教育のスタンダードの一つとなっているが、医学部の授業が内科学や外科学等の「講座単位」で構成されていた開学当時には、斬新であった。 また、時代にそして全国に先駆けて、新たな臨床系教室を開設している。1975年、患者の日常生活を取り戻すためのリハビリテーションの必要性を認識し、「リハビリテーション医学教室」を開設。1977年にはわが国初の「救急医学教室」が、24時間365日診療を行うことの重要性と、「良医」育成には必須であるとの考えからスタートした。同時に、全科も24時間体制で救急診療を行っており、附属病院の救急診療は臨床実習の大きな力となった。1981年には「何でも診られるジェネラリストを育てたい」という強い想いから、「総合臨床医学教室」を開設。当時、多くの大学附属病院は専門分科を指向していたが、総合医学教育カリキュラムを開始した。さらに近年では「脳卒中医学」「認知症学」など、臨床のニーズが高い教室を次々と開設してきた。 診療参加型臨床実習の重要性がクローズアップされているが、本学では独自の臨床実習を実施。現在義務化されている客観的臨床能力試験「OSCE」の「医療面接」も、一般の方に「模擬患者」として協力を得て始めた。また、附属病院での卒後教育においては、医師としての幅広い知識・技術を身につけるため、スーパーローテイト方式による初特色ある医学教育臨床実習後の親睦会(1976年)期臨床研修を開学当初から実施している。 本学は、在学時から卒後に至るまで、先駆的な教育方法により臨床力を身につけた医師を世に輩出してきた。約4,700人の卒業生一人一人の活躍が、「一個の医科大学を建設し、毎年100人の有能な医師となるべき卒業生を送り出したい」という創設者の想いが結実した証と言える。くすのき会慰霊碑49臨床実習

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