川崎学園 創立50周年記念誌
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Since 197川崎医科大学59(3)公的研究費獲得への取り組みと成果申請された特定臨床研究について審議(臨床研究審査委員会) わが国の教育・研究機関における環境は急速に変化しており、競争的資金を獲得して研究活動を維持するという方向性が顕著となっている。そこで本学でも「科研費獲得推進セミナー」の開催(2009年度~)、若手研究者育成を目的とした「サポーター制度」、「プロジェクト研究費:Fresh若手研究支援の新設」(2017年度~)等の取り組みを行っている。 一方、研究環境の急速な変容に対応するため、制度改革を実施し研究体制を強化してきた。特に、臨床研究においては、2018年に未承認・適応外の医薬品等を用いる臨床研究、製薬企業等から資金提供を受けて行う臨床研究の適正実施を目的とした臨床研究法が施行され、本学では同年9月に「川崎医科大学臨床研究審査委員会」が厚生労働省の認可を受け設置された。学内研究体制の強化 科研費の獲得件数および獲得額はさまざまな取り組みにより増加傾向にあり、併せて「基盤研究(A)」、「若手研究(A)」、「挑戦的研究(開拓)」等の従来採択実績がない研究種目の採択につながった。一方、「科学技術振興調整費」(独立行政法人科学技術振興機構)による国の喫緊の重要課題解決を目的とした研究課題の採択、「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」(文部科学省)の採択、厚生労働科学研究費補助金等での予算の獲得等、大型の競争的資金の獲得実績を積んできた。 さらに、「国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)委託研究開発費」においては、制度開始初年度(2015年度)から継続的に11件の研究課題が採択され、研究が進められている。また、2014年度から文部科学省で始まり、2017年度からはAMEDへ発展的に集約された「橋渡し研究戦略的推進プログラム」においても本学提案の研究シーズの採択数が年々増加している。 これらの取り組みの中でも特に顕著な成果として、ミトコンドリア脳筋症における脳卒中様発作の治療法開発が挙げられ、厚生労働科学研究費及びAMEDにより実施された医師主導治験によってその治療効果が証明され、医薬品の効能・効果および用法・用量追加が承認および保険収載(2019年2月)された。今後も、本学の研究活動の成果を社会に還元すべく、大学を挙げて取り組んでいく。不断の取り組みの成果タウリンの適用追加の承認についての福永仁夫学長(左)と砂田芳秀教授(神経内科学)の記者会見・タウリンによるMELAS脳卒中様発作再発抑制療法の実用化・デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する革新的筋萎縮阻害医薬の実用化・ウイルス性肝疾患領域における新たな知見の創出や新規技術の開発に関する研究・ICTを活用したDiabetic Kidney Diseaseの成因分類と糖尿病腎症重症化抑制法の構築・A3243Gミトコンドリア耐糖能異常に対するタウリン療法の実用化・デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する革新的ペプチド医薬の実用化・精緻な疾患レジストリーと遺伝・環境要因の包括的解析による糖尿病性腎臓病、慢性腎臓病の予後層別化と最適化医療の確立・高齢腎不全患者に対する腎代替療法の開始/見合わせの意思決定プロセスと最適な緩和医療・ケアの構築・光干渉断層イメージングのAI解析に基づく急性心筋梗塞発症予測法の開発・脳卒中患者の歩行障害改善に寄与するNIRSニューロリハシステムの研究開発・ニューロフィードバックを用いた脳卒中患者の歩行障害改善に寄与する医療機器開発<国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)委託研究開発費 研究課題(採択)>(2015年度~2019年4月1日までの採択実績)

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