川崎学園 創立50周年記念誌
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Since 197川崎医科大学附属病院 1981年10月、川崎医科大学附属病院から1機のヘリコプターが医師・看護師を乗せて飛び立った。これはヘリコプターに医療スタッフが搭乗して傷病者の発生場所に行き救急現場から医療を開始する救急医療システムのシミュレーションで、わが国初の試みだった。その後、1987年に1か月にわたる救急医療用ヘリコプターの実用化研究が行われ、1992年には6か月間の同実用化研究が当院で実施された。そして、1995年の阪神淡路大震災における教訓から、救急現場に出動し、搬送前から傷病者の治療を開始する病院前救急診療や災害時に救急ヘリコプターの有効活用が必要だとの見解が国から発信された。それを実証するためのドクターヘリ試行的事業が1999年から1年半にわたり、当院と東海大学医学部付属病院で実施された。この事業によって、ドクターヘリの救急医療における有効性が実証された。そして、2001年4月、全国に先駆けて、川崎医科大学附属病院を基地病院とする岡山県のドクターヘリ事業が開始された。 「空飛ぶ救命室」と呼ばれるドクターヘリ。これまで、ドクターヘリは患者搬送時間を短縮させるだけでなく、救急医療に精通した医師・看護師を現場まで短時間で運ぶことにより、適切な処置の早期開始や救急現場から搬送先救急医療機関への迅速な情報伝達と搬送で多くの命を救ってきた。 そして、ドクターヘリは岡山県の1機から全国に広がり、2019年現在、43道府県で53機のドクターヘリが病院前救急診療に活躍している。また、2018年度の全国ドクターヘリ総出動件数は27,900件にのぼり、ドクターヘリの基地病院の増加に伴って、出動件数も毎年増加の傾向にある。 ドクターヘリは、事故や災害現場での救命医療そして適切な救急医療機関への迅速な救急患者搬送により、救急患者の早期社会復帰や救命率向上に貢献している。試験飛行:1981年10月23日実用化研究:①1987年10月1日〜31日②1992年7月1日〜12月31日試行的事業:1999年10月1日〜2001年3月31日運航開始:2001年4月1日年間出動件数:2001年度 204件(初年度)2018年度 340件のべ出動件数:7,170件(2019年3月31日現在)data岡山県ドクターヘリ安全運航5000回記念(2013年5月7日)命を救うために1秒でも早く。ドクターヘリ、エンジンスタート!ドクターヘリ救急外来(重症処置室)救急ICU災害対応訓練ドクターヘリ出動ドクターヘリ患者搬送69フライトナースKawasaki Gakuen Episodes

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