「チーム医療」シリーズⅢ 山陽新聞 2015年12月13日(日) 掲載
健康運動指導士は、人々の健康増進や体質改善を図るために、病院・福祉施設、保健センターやフィットネスクラブなどで一人一人に適応した安全で効果的な運動プログラムを作成し、実践指導を行う専門家です。厚生省(昭和63年当時)の施策として、生涯を通じた国民の健康づくりを目的に養成が始まりました。現代の超高齢社会における健康寿命の伸長や生活習慣病予防の観点から、人々の体力・健康づくりを担う専門職として期待されています。
管理栄養士は国家資格で、傷病者への療養や個人の健康保持・増進のための栄養指導を担う専門職です。近年、医師・看護師・薬剤師などと共に患者さんにとって最適な栄養療法で栄養状態を良好に保つための取り組み(栄養サポートチーム)が注目されています。管理栄養士はそのチーム医療の一員として栄養評価の指導や解析などで大きな役割を担っています。栄養管理はすべての疾患治療の基礎となるものであり、医学・医療の知識が不可欠です。
医療情報技師は、電子カルテや地域医療情報連携システム(岡山県では晴れやかネット)などICT化が進む中で、システムの企画・開発から運用管理・保守まで行う、医学・医療と情報処理技術に関する知識とスキルを身に付けた医療専門職です。安心・安全な医療を提供するためには、24時間365日システムを安定的に運用し、必要なときに患者さんの情報を迅速に抽出し確認できなければなりません。その基盤を支えるスペシャリストとして活躍しています。
臨床工学技士は国家資格の医療技術者です。主に医療機関で医療機器のスペシャリストとして、人工呼吸器や人工心肺、人工透析装置をはじめ、ICU、手術室、病室などで使用する医療機器の操作・安全管理・保守点検を行います。操作ミスや機器の不具合は患者さんの命に直結するため、臨床工学技士には、十分な医学と工学の専門知識と技術が必要です。医療機器の高度化・複雑化が一層進んでおり、その存在はますます重要になっています。
「チーム医療」シリーズⅡ 山陽新聞 2015年11月29日(日) 掲載
言語聴覚士は国家資格の医療技術者です。病気、事故、発達上の問題など、言語、聴覚、摂食・嚥下の機能障がいの原因はさまざまです。機能障がい発現のメカニズム解明を図り、対処法を見出すための検査を実施し、訓練や指導、助言などを通じて、豊かな生活を送るための支援を行います。病院では、主にリハビリテーション科に所属し、さまざまな診療科と連携をとって幼児から成人、高齢者までを幅広くサポートします。
視能訓練士は国家資格の医療技術者です。医師の指示のもと、視力や屈折、眼圧、視野などの視能検査、斜視や弱視などの視能矯正、検診、リハビリテーション指導などを行います。視機能が十分に回復しない場合は、福祉の視点から、患者さんが持つ視機能を最大限に活用することで、快適な生活を送れるよう支援に取り組みます。眼科治療は近年飛躍的に進歩しており、高度化する診療の現場で益々の活躍が期待されます。
臨床心理士は、臨床心理学に基づく知識や技術を用いて、”こころの健康”を支える専門家です。認知症患者の増加や緩和ケアなど現代社会が抱える問題に対処するために医師の指示のもと、心理検査やカウンセリングを行い、患者さんやご家族の心理的ケアに取り組んでいます。また、医師や医療スタッフと患者さんやご家族とをつなぐ役割も期待されています。社会で心理面のケアが重要視されており、活躍の幅が広がります。
診療室をはじめ臨床の現場で医師の右腕として活躍できる医療秘書が今求められています。医師が患者さんと向き合う時間を大切にできるよう、医師に代わって電子カルテ入力、地域病院との調整、研究データの管理などを行います。そのためには医学・医療の知識が不可欠です。さらに高度なコミュニケーション力、段取り力、調整力も生かして、医師や医療スタッフを事務的な側面からサポートしチーム医療に貢献します。
「チーム医療」シリーズⅠ 山陽新聞 2015年11月15日(日) 掲載
病院で活躍する社会福祉士(国家資格)は、医療ソーシャルワーカーとして、院内の医療関係職種をはじめ、地域の医療機関、福祉・介護施設、行政などをつなぐ役割です。病気や高齢などで支援を必要とする人々の相談に乗り、一緒に問題の解決に向けて取り組みます。一人一人の生き方を尊重したサポートをしていくために医療福祉の専門的知識と実践カを持つ社会福祉士(医療ソーシャルワーカー)が求められています。
介護福祉士はチーム医療の一員として病院・福祉施設で一人一人に合った介護を行うために、容態はもちろん、何の病気で、どんな治療を受けているかを把握するスキルが必要です。その上で、患者さんに安全で、配慮あるケアを実践し、ご家族には介護技術をお伝えするなどの役割が求められます。社会の超高齢化が急速に進行する中、医療と介護の連携が進んでおり、病院・福祉の現場では医療に強い介護福祉士のニーズが高まっています。
入院や来院する患者さんやご家族は不安と緊張でいっぱいです。これからの病院は最適な医療を提供するだけではなく、心地よいサービスやタイムリーな情報提供などが一層求められます。病気や医療、人間工学、ホスピタルデザイン等の知識を生かし、安心して来院できる空間づくりや、見やすい案内表示・ホームページの作成など、患者さんの視点に立った企画で“患者さんに選ばれる病院”を目指すプロフェツショナルです。
急速な少子高齢化で、医療・介護費用が膨らむ一方、社会保障の財源には限りがあります。こうした状況の中、いかに質が高い医療を提供し、安定的・効率的に経営を行っていくかは大きな課題です。また、良いサービス提供は職員にとって働きがいある職場から生まれます。そのような環境を作るためには、経営学や会計の専門知識と同時に医療・福祉施設の仕組みや実態に精通したマネジメントの専門家が必要不可欠です。